ベンチプレス中に起こる大胸筋の断裂について - 筋トレの嘘と本当~正しい筋肉の鍛え方~

ベンチプレス中に起こる大胸筋の断裂について





こんにちは、筋トレアカデミーの山本龍二です。

本日は、ベンチプレス中に起こる大胸筋の断裂について、
実例を元にお話したいと思います。

ベンチプレスはとてもメジャーな種目であり、
ベンチプレスで何kg挙げられるかは、
その人の筋力を示すバロメーターとなっています。

しかし、一般にも広く行われている分、
ベンチプレス中の怪我も多くなっているのです。

具体的には、「大胸筋の断裂」です。
大胸筋とは、上腕骨の肩に近い部分から始まり、
そこから扇状に胸骨に向かって広がっているのですが、
上腕骨の付け根の「腱」が切れてしまうのです。 

大胸筋の断裂と言っても、
大胸筋自体が断裂することは滅多になく、
ほとんどの場合は「腱」の断裂になります。

私自身は大胸筋を断裂した経験はありませんが、
実際に経験した人から話を聞くと、
ベンチプレスの最中に腱が断裂すると、
大胸筋に突然激痛が走り、
その痛みは思わず叫んでしまうほどだそうです。

また、治療によって治ったとしても、
また切れるのではないかという精神的な不安が生じ、
以前のような高重量は扱えなくなるとのことですし、
実際に再発の危険性も高くなるそうです。

ですから一度断裂してしまうと、
その後も悪影響が多く出てしまいますので、
普段から注意しておくことが大切です。

では、大胸筋の断裂が何故起こってしまうのか、
その原因について、実例を元に説明します。

まず最初の実例は、ウォームアップ不足によるものです。
ベンチプレスのMAXが140kgの方だったのですが、
その日は軽い重量でのウォームアップを全くせずに、
いきなり120kgからスタートしたのです。
そして3レップ目を挙げようとした瞬間に激痛が走り、
そのまま動けなくなってしまったのです。

高重量を扱う前にはウォームアップが大切です。
筋肉が準備できていない内に高重量に挑戦するのは、
いくらMAXが140kgだったとしても、
いきなり120kgからスタートするのは危険すぎます。

たとえば、いきなり120kgから入るのではなく、
60kg、90kg、120kgと、
段階的に重くしていく必要があるのです。
こうすることで、より重い重量に挑戦するための準備ができ、
大胸筋の断裂を防ぐことができるのです。

ただし、ウォームアップを必要以上に多く行ってしまうと、
ウォームアップの段階で疲労しすぎてしまい、
逆に本番セットでの筋出力が下がってしまいますので、
バランス良く適度に行うようにすべきです。

次の実例は、オーバートレーニングによるものです。
ベンチプレスの記録を伸ばそうとして、
ベンチプレスの頻度を週2日から週4日に増やし、
毎回1~3レップしか挙がらない高重量に挑戦していたのです。
そして、ちょうど1ヶ月続けたころ、
大胸筋の断裂が起こってしまったのです。

この1週間前から体のダルさを感じ、
疲労が溜まっているのを感じていたようですが、
休むことなく無理して続けてしまったのです。

毎回MAXに挑戦するようなトレーニングをしていたら、
当然体への負担は大きくなりますし、
疲労回復に要する時間も長くなります。

ですから、それに見合った頻度でトレーニングしないと、
すぐにオーバートレーニングに陥ってしまうのです。
疲労が蓄積した大胸筋は非常に弱っていますので、
断裂も起こりやすくなってしまうのです。

オーバートレーニングが原因による筋断裂は、
発生件数が多くなっていますので、
疲労回復に対する十分な注意が必要です。

最後の実例は、ネガティブトレーニングによるものです。
ベンチプレスのMAXが120kgの方だったのですが、
更なる大胸筋の発達を目指し、
ベンチプレスをネガティブで行ってみることにしたのです。

MAXよりも30kgも重い150kgのバーベルをセットし、
パートナーに手伝ってもらいながらラックアップし、
150kgのバーベルを腕を伸ばした状態で持って構え、
そこでパートナーに手を離してもらうと、
重さに耐えられずバーベルが胸に触れるまで落ちてきます。
その間重さに逆らいながら抵抗することで、
大胸筋が強い力で伸ばされるようになるのです。

しかし、これは極めて危険な行為なのです。
週1日の頻度でこのトレーニングを行っていたそうですが、
3週目に大胸筋の断裂が起こってしまったのです。

山本式筋トレをきちんと理解している人なら、
ネガティブトレーニングがいかに危険かお分かりかと思いますが、
筋肉が伸ばされていくということは、
筋肉が弱い状態に向かっていくということなのです。

筋肉は伸びた状態では力を発揮することはできず、
筋肉で大きな負荷を支えることはできません。
ですからその分、腱で負荷を支えなければならず、
腱への負担が大きくなり、突然腱が切れてしまうのです。

ベンチプレスの場合で言うと、
バーベルを胸に触れるまで深く下ろした位置では、
大胸筋は伸ばされ力を発揮できませんから、
バーベルは腱が頑張って支えているのです。

腕ひしぎ逆十字固めという関節技がありますが、
技を決められ腕が伸ばされた状態では、
腕の筋肉は完全に伸ばされ力を出すことができませんから、
そのまま続けると肘関節が破壊されてしまいます。

ネガティブで大きな負荷をかける行為とは、
まさにこれと同じことであり、
腱や関節が破壊されかねない危険な行為なのです。

以上、3つの実例を元に、
大胸筋の断裂についてお話しましたが、
今回紹介した、
・ウォームアップ不足
・オーバートレーニング
・ネガティブトレーニング
が原因による場合が多いですから、
まずは、この3点に注意することが大切です。

今回の記事を読んで、
少し心配になったという人もいるかもしれませんが、
もし、何か思い当たる点がある場合には、
すぐに改善するよう努めてください。

適正な方法で筋トレを行い、
安全に高重量を扱うことができていれば、
このような筋断裂を起こさずに済むのです。


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