こんにちは、筋トレアカデミーの山本龍二です。

本日は、6月12日のセパ交流戦「日本ハム対阪神」にて、
大谷投手が球速163キロを連発できた理由について、
私の分析結果をお話したいと思います。

この日、大谷投手は1回から全力投球し、
7回107球を投げて163キロを5球、160キロ超えは31球、
58球投げた直球の平均球速が159.7キロという、
今までの常識を超える投球をしました。

さらに凄かったのは、7回にも160キロを投げるなど、
終盤に入っても球速が落ちなかったことです。
これには本当に驚きました。

昨年のオフに大谷投手は本格的な筋トレに取り組み、
筋トレ直後と就寝前にはプロティンを飲み、
筋肉量を増やして体重も100kgを超えたそうですが、
筋肉を大きくし筋力をアップさせることで、
球速が速くなるということを証明してくれたのです。

もちろん、190cm以上の長身と長い手足など、
投手として身体的に恵まれていることや、
投球フォームなど技術的な面もあったでしょうが、
筋トレによって筋肉を大きくしたことが、
球速アップの一番の要因であったことは確かです。

大谷投手の体を見るとわかりますが、
ユニフォームの上からでも、
胸板の厚さ、肩幅の広さ、上腕の太さなど、
昨年よりも明らかにバルクアップしています。

そして、筋肉が大きくなったことで筋力がアップし、
投球の際に筋肉が感じる負荷が、
今までよりも軽く感じられるようになったのです。
つまり、今まで全力で投げないと出せなかった球速を、
80%~90%の力で出せるようになったのです。

たとえば、同じ160キロだとしても、
昨年より今年の方が筋肉が感じる負荷が軽くなり、
その分、楽に投げられるようになったのです。

1試合の中で160キロ超えの直球を31球も投げられ、
しかも終盤に来ても球速が衰えなかったのは、
1球ごとに筋肉が感じる負荷が軽くなったことで、
強い筋力を長く出し続けることができたからなのです。

昨年までは、1回160キロを投げてしまうと、
筋肉が限界に近い負荷を感じてしまっていたため、
続けて何回も160キロを投げることは難しかったのですが、
今年は筋肉が感じる負荷が軽くなったことで、
80~90%の力で160キロを投げることができるようになり、
続けて何回も投げられるようになったということです。

だから、先日の対阪神戦では、
1回の表だけで球速163キロを3球も投げられたのです。
しかも、その後も160キロ以上を連発できたのです。

大谷投手が筋トレで筋肉を大きくしたのも、
他のスポーツ選手が筋トレに励んでいるのも、
彼ら自身が、筋肉を大きくすることで、
スピードが速くなることを知っいるからなのです。

筋肥大とスピードとの関係については、
これまで誤解されてきた部分が大きかったのですが、
基本的な正しい考え方としては、
筋肉を大きくすることで筋力も強くなり、
今までよりも運動時に筋肉が感じる負荷が軽くなるため、
発揮できるスピードも速くなるということです。

たとえば、30kgのベンチプレスを最大スピードで繰り返したら、
10秒間に5回できたとします。
しかしその後、筋肉を大きくし筋力アップした上で、
また同じように測定したとしたら、
同じ30kgのバーベルであっても以前よりも軽く感じるため、
バーベルの挙上スピードはずっと速くなり、
10秒間にできる回数も多くなるはずです。

つまりこれは、生理学上の基本原理なのですが、
筋肉がついたことで筋力も強くなり、
1回の挙上で筋肉が感じる負荷が軽くなったことで、
今までよりも速く挙上できるようになったのです。

筋肉を自動車のエンジンだと考えるとわかりやすいのですが、
大きなエンジンの自動車ほど速いスピードが出せるのと同じなのです。
軽自動車で時速150kmを出すことは、
エンジンが限界に近い状態となり難しいですが、
エンジンの大きい自動車なら簡単に出すことが可能なのです。

というわけで、大谷投手の体というのは、
まさに大きなエンジンを搭載した自動車なのであり、
小さなエンジン(筋肉)しか搭載していない投手よりも、
楽に速い球を投げることができるというわけです。

しかし、大きな筋肉ほどスピードも速くなる、
というのはその通りなのですが、
トレーニングのやり方が悪いと、
その能力を低下させてしまうので注意が必要です。

せっかく大きな筋肉を手に入れたのに、
それを上手に使いこなせないために、
本来のスピードが出せなくなってしまうということです。

ボディビルのように、筋肉の大きさを追求する競技なら、
筋肉の機能性云々よりもサイズの方が優先されますが、
野球の投手がボディビルダーのような体だったら、
筋肉が動作の邪魔をして投球フォームに支障が出てしまいます。

ですから、筋量増加が逆効果とならないよう、
筋肉を上手く使いこなせることを前提とした上で、
最大限の筋量増加を図っていくことが大切なのです。

では、どのようなトレーニングが必要なのかですが、
野球の投手がスピードアップを狙う場合には、
実際の年間トレーニングサイクルとしては、
「筋肥大期→筋力アップ期→スピードアップ期」
という流れになります。

オフシーズン中は「筋肥大」「筋力アップ」を中心とし、
シーズンに入ったら「スピードアップ」へと、
トレーニングの重点を移していくといった感じです。

オフシーズン中の筋トレ種目としては、

(1)ベンチプレス(フラット/インクライン)
(2)ラットマシンプルダウン
(3)ベントオーバーロウイング
(4)ショルダープレス
(5)リアレイズ
(6)アームカール
(7)キックバック
(8)スクワット
(9)ランジ(フロント/サイド)
(10)レッグカール
(11)デッドリフト
(12)クランチ(フロント/リバース/サイド)

など、全身のパワーを高めるコンバウンド種目と、
重要な部位を単独で鍛えるアイソレーション種目を、
バランスよく組み合わせながら、
2~3分割にして週4~5日行うようにします。

そして、漸進的に使用重量を増やしていき、
可能な限り最大筋力を高めておくのです。
今までベンチプレスで60kg×10回が限界だったのが、
2ヶ月後に80kg×10回が出来るようになれば、
当然筋肉も大きくなっているし、
最大筋力も高くなっているのです。

そして、筋肥大と筋力アップを図った上で、
つまり、大きなエンジンを搭載した上で、
スピードアップを目指していくのです。

では、次に、「スピードアップ期」についてですが、
この時期の目的は、全身の筋肉の連動性を高めて、
試合に向けた体の性能をより高めていくということです。

プロ野球の投手でいえば、
実際の投げ込みや投球フォームの改良など、
技術的なレベルアップが中心となります。
そして、投げるための体に仕上げていくのです。

つまり、今まで養った筋肉と筋力を、
実際の試合で役に立つよう、
上手く使いこなせるようにしていくのです。

オフシーズン中にしっかりと筋力アップした投手は、
キャンプ以降、技術練習をみっちりやることで
全身の筋肉の連動性が高まり、
球速がグングン上がっていくはずなのです。

オフシーズン中に筋力アップされていなかったら、
いくら技術練習を一生懸命しても、
エンジン自体が小さいわけですから、
出せるスピードには限界があるのです。

スピードアップするためには、
事前に筋力アップされていることが必要であり、
筋力アップした部位ごとの筋肉が連動して初めて、
スピートアップが可能となるのです。

(1)筋トレによる「筋肥大」「筋力アップ」
(2)技術練習による「筋肉の連動性の向上」
によって、発揮できる最大スピードも上がるのです。

なお、シーズン中も筋力を維持するためには、
週に2~3回の筋トレを行う必要があるのですが、
投げる日に疲労が残らないようにするために、
上手く調整してスケジュールを組むことが大切です。

今回は、大谷投手が球速163キロを連発できた理由について、
筋肥大、筋力アップの観点からお話してきましたが、
今回お話した考え方は、野球の投手に限らず、
あらゆるスポーツ競技に共通するものとなりますので、
是非参考にして、パフォーマンス向上に役立ててください。

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